― 視覚障害者の安全運転支援と交通福祉の向上を目指して ―
2025年6月17日
一般社団法人Vision & Mobility

◆ 設立の趣旨
このたび、視覚障害者の福祉と交通安全の向上を目的とする 一般社団法人Vision & Mobility(ビジョン・アンド・モビリティ)を設立いたしました。
本法人は、視覚に障害を抱える方々が自立した移動を維持し、安全に運転を継続できる社会の実現に向けて、眼科医療機関、自動車運送事業者、技術開発者、研究者、行政等と連携しながら、多面的な支援・研究・啓発活動を展開してまいります。
◆ 設立の背景
現在、高齢化社会の進行とともに視覚機能に課題を抱えるドライバーの増加が社会的な課題となっています。中でも視野障害や視覚機能の低下に起因する運転リスクへの対応は、医療・運輸・福祉の各分野で連携した取り組みが求められています。
しかし、視覚障害に特化した運転リスク評価や支援体制は未整備であり、視覚障害者自身の「運転を継続するための判断と支援」が必要不可欠となっています。
こうした背景のもと、Vision & Mobilityは、視覚障害者がより安全・安心に移動し続けられる社会環境づくりを目的として設立されました。
◆ 法人概要
- 法人名:一般社団法人 Vision & Mobility
- 設立日:2025年6月17日
- 代表理事:伊藤 誠
- 所在地:兵庫県神戸市中央区港島南町二丁目1番8号神戸アイセンター5階
◆ 主な事業内容
- 眼科医療機関における視覚障害者の運転リスク評価支援と運転指導技術の開発
- 自動車運送事業者に対する視野障害者支援のための体制整備とコンサルティング
- 視覚障害者が安全運転を継続するための運転補助技術・支援手法の研究開発
- 視覚障害者の運転支援に関する調査研究および社会実装支援
- 視覚障害者の移動と交通安全に関する啓発活動・情報発信
◆ 代表理事挨拶
一般社団法人Vision & Mobilityの設立にあたって
代表理事 伊藤誠

この度、一般社団法人 Vision & Mobilityを設立させていただくことになりました。この法人では、視野に障害のある方の自動車の運転を中心に、運転能力の評価、助言、技術的支援などについて研究し、実践していきたいと考えています。
一番大事なことは、視野に障害があっても不自由なく日々の生活を送ることができる社会的環境を実現することであって、自動車を利用した移動はその一つの手段にすぎません。長い目で見れば様々な対応策を考えることはもちろん可能です。しかし、現実的に今すぐにできること・すべきこととして、視野に障害のある方による自動車運転の安全を確保することを、この法人では目指したいと考えています。
視野に障害があるからといって、直ちに自動車運転を取りやめないといけないわけではなさそうです。実際、これまでの経験では、少々視野が欠けていても、安全に運転できている人はいます。もちろん、障害の程度が重くなった場合には、どこかの段階で自動車の運転をあきらめていただかないといけない場合はあります。問題は、視野の障害に関して、自動車の運転能力をどう評価し、どう助言をし、どう支えていけるか、あるいは、どこまで悪くなったら運転を取りやめる判断をすべきか、ということについての方法論が完全には確立できていないところにあります。
この法人の設立に先立ち、一部有志の先生方の努力によって、眼科に「運転外来」を開設し、成果を上げ始めています。自動車の運転能力について視野という観点から具体的に検討できるのは、やはり正確な視野検査が可能な眼科の外来です。本法人では、運転外来で蓄積した知見をもとに、眼科にかかわる皆様と情報・意見交換を深めるとともに、可能な施設には運転外来の導入をお手伝いしてまいります。
自動車運転能力の評価・向上の手法をより良いものにしていくためには、眼科の皆様のみならず、道路交通、自動車技術を専門とする皆様のご支援も不可欠です。
本法人の趣旨にご賛同いただける、幅広い分野の皆様のご協力をお願いできれば幸いです。
◆ お問い合わせ
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